昆虫のなかまたち

2022/10/26

 今年最後のカブトムシ君が死んでしまった。
 いつか来る別れなのは理解していたけれど、死んでしまって、カブトのケースや部屋を掃除したりしていると、喪失感が湧いてくる。去年みたいに大泣きはもうしない。でも、スーパーに行った時に、もうバナナを買わなくていいんだ、と思うときの寂しさは気持ちが落ちる。
 でも、この子は随分長生きしてくれた。頑張った。たしか6月末に羽化した子なので4か月近く生きてくれたんだ。日がたつごとに、弱り歩けなくなり枝から落ちるようになっていく姿が、自分のように思えていた。この子のように僕もゆっくりと老いていき、死ぬのだろう。
 アジサイの鉢に埋めた。この子の体は植物の栄養になるだろう。この家の子たちは、みんなどれかの鉢に埋めてある。植物を育て、花や実になって帰ってくる。実ったミニトマトを僕は食べる。いつか僕が死んだら、一緒に埋めてもらいたい。それが筋だろうと思う。

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